自筆証書遺言と公正証書遺言の概要についてまとめました。
①自筆証書遺言について
〔作成方法〕
・遺言の全文、日付、氏名を全て自書し、押印する。※パソコンで作成はダメ
・変更については、変更箇所を指定し民法に規定されている厳格に定められた方式に従わなければならない。
〔長所〕
・費用がかからない。作成が簡便。遺言の存在を秘密に出来る。
〔短所〕
・隠匿、偽造、改ざん、紛失の恐れがある。
・形式相違、文意不明で無効となる場合もある。
・家庭裁判所に検認の手続きが必要となる。
※検認とは、あくまで「家庭裁判所が相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続き」であり、「遺言の有効・無効を判断する手続き」ではありません。
②公正証書遺言について
〔作成方法〕
・証人2名以上の立会いの上で、遺言者が遺言の趣旨を口授し、公証人が筆記の上、遺言者、公証人および証人が署名押印する。
〔長所〕
・喪失、変造の恐れがなく、遺言の成立の真正、文意解釈等について争いの余地が無い。
・家庭裁判所の検認の手続きが不要。
・遺言書が公証役場に保管される。
〔短所〕
・作成費用がかかる。また、推定相続人は証人になれないことから、別に証人2名を探さなければならない。公証役場で選任してもらうと費用がかかる。
・遺言の存在を秘密にできない。
このように、二つの遺言方式を見てみると、自筆証書遺言は、遺言を書く人にとっては費用も掛からず簡単だが、遺された人にとっては大変、公正証書遺言は、遺言を書く人にとっては、準備のため費用がかかったり大変だが、遺された人にとっては安心!と言えます。
公正証書遺言作成件数は、年々増加しており、平成25年は、平成7年の2倍の96,020件に上ります。それは、費用がかかるにせよ、確実に遺言ができるという点に尽きると思います。上に述べたように、自筆証書遺言は、民法が規定する厳格な要件があり、1つの要件でも落とすと、遺言が無効になってしまうリスクがあります。また、遺言の紛失、隠匿、偽造などのリスクも自筆証書遺言にはあります。これらのリスクを回避できる公正証書遺言が、支持を集めてきたことも当然と言えるでしょう。
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